素晴らしき特撮系TVゲームの世界
| 怪獣や変身ヒーローもの等が世間一般へと十分な認知と理解を得た現在、それらへのファンの接し方も多様化の道を歩き始めている。ぞくぞく作り出される新作やリメイクを追いかける者、DVDや衛星放送などを通して再見できる過去の名作群をひたすら収集する者、あるいは、自分たちでマスクやフィギアなどを作ってしまう人たち。そんな流れの中で、私自身は特撮系TVゲームにはまってしまったのは、ある種の運命的なものだったのかもしれない。
なぜ、私は、それほどまでにも特撮系TVゲームが気に入ったのか? その答として、特撮系TVゲームには、映像化された作品には望めない、いくつもの素敵な可能性が秘められている点があげられる。 何しろ、リメイクにせよ、新作にせよ、一つの映画、ドラマ番組となる為には、その「完成品」には、あまりにも制限が多すぎる。ゴジラにしたって、新しい方向性を求めるあまり、昭和のゴジラシリーズの歴史は全て切り捨ててしまった。つまり、我々は、新しいゴジラやミニラには会えても、かつての昭和のゴジラやミニラたちのその後は、もはや、二度とスクリーンでは目にする事ができないのである。 ところが、特撮系TVゲームと言うのは不思議な世界だ。そこでは、映画という形ではないものの、確かに昭和のゴジラたちが今なお生き生きと動いていて、当時のノリのままで我々と触れあってくれるのである。しかも、昭和のゴジラばかりではなく、平成のVSゴジラたちさえも、そこには混在していて、夢の共演やシチュエーションを思うがままに楽しめるのである。 さらに、その発展バージョンとして、「TVゲームだけの続編」と言うものがある。 たとえば、「ガメラ2000」(プレイステーション)と言うシューティングゲームがある。平成のガメラは、きちんと映画で三部作が作られているものの、この「ガメラ2000」と言うゲームは、実は、その番外的エピソードと言う形の内容のゲームなのである。しかも、イリス登場よりも早く、ギャオスの進化型の怪獣たちがぞろぞろと出演しており、映画化されても十分面白そうなストーリーとコンセプトを持っているのである。 同傾向のTVゲームは、実際には、かなり沢山作られており、「スーパーヒーロー作戦 ダイダルの野望」(プレイステーション)なんて「ウルトラマンガイア」の本編再録&後日談の形をとった上で、なおかつ昭和ウルトラマンたちとの夢の共演を果たしているし、「仮面ライダー 正義の系譜」(プレイステーション2)も同様に、仮面ライダーたちの夢の共演を実現させた上で、最後のオチでは、本作が「仮面ライダーBLACK」外伝であった事が判明するような仕掛けになっている。(ネタばれですけど、「仮面ライダー 正義の系譜」のラスボスの正体は前世代の世紀王の片割れ。創世王の姿が心臓だった事を考えると、前世代の世紀王の対決は「心臓VS目玉」だった事になる) この種の続編ものの極みは、やはり「人造人間ハカイダー ラストジャッジメント」(セガサターン)であろう。映画の「人造人間ハカイダー」は続編が作られずに終わったが、このゲームこそが、しっかりとした正統な続編なのである。ゲームシナリオは映画の脚本を書いた人が執筆しているし、キャラデザインもきちんと雨宮慶太氏(映画版の監督)が担当している。しかも、その出てくる新キャラがビジンダーやギルやワルダーだとなれば、もはや「ついでのTVゲーム作品」の一言では片付ける訳にはいかないはずであろう。しかも、マルチシナリオなので、途中、いくつかの異なるストーリー展開までも楽しめる次第なのである。 もちろん、ゲームストーリーそのものが続編になってなくても、登場キャラで他では見られない新キャラと遭遇できる楽しみもある。「超ゴジラ」(スーパーファミコン)では、劇場映画では出演がボツになった幻の怪獣バガンを拝む事ができるし、「百獣戦隊ガオレンジャー」(プレイステーション)にもキングオルグなるオリジナルオルグが登場する。「グレイトバトル」シリーズ(スーパーファミコン、他)に毎回登場する悪玉ダークブレインは、ウルトラ怪獣、ライダー怪人、SDモビルスーツの全てを束ねる強大な勢力を持った悪の総大将だし、「アジト」シリーズ(プレイステーション)に出てくる大帝王ヘルガイアと宇宙魔王ヘルギルダーの兄弟も同様である。このような原作以上にパワフルな悪役と出会えるあたりも、特撮系TVゲームの魅力の一つなのである。 その昔、雑誌やコミックなどが特撮ものの内容を自由に解釈していた時期があった。そこには、映画やテレビの原作とはかけ離れた独自のストーリーが展開され、それもまたファンたちを興奮させてくれた要素の一つだったのだが、今日では、映画やテレビなどの映像作品のみが原作と判断され、それら以外の媒体のほぼ全ての物語が邪道、バッタものとして排他される事となってしまった。当時の熱気を知っている私のような年代の人間にしてみれば、ひどく淋しい気もするのだが、実は、この「映像以外のオリジナルの世界観の展開」と言うのは、実は、昨今では、TVゲームの中によって、脈々と引き継がれていたのである。 そう考えてみた時、私ほどの年齢に達した人間が、今頃になって、なぜ、これほどまでにも特撮系TVゲームに夢中になってしまうのかも、何となく理解できるようになってくる次第なのである。 残念ながら、特撮系TVゲームの中で展開されてきたストーリーも、原作世界側から引用されるような事はほとんどない。かつての雑誌やコミックのオリジナルストーリー同様、いずれは過去に消えてゆく運命なのであろう。しかし、特撮系TVゲームの中では、今なお、新たなストーリー、独自のキャラクターたちが生まれ続け、私たちを楽しませ続けてくれている。最新作(2004年夏時点)「ウルトラ警備隊」(ゲームボーイアドバンス)では、科特隊、ウルトラ警備隊、MATが混在する世界を描き、クライマックスでは「ウルトラマンエース」前夜エピソードとも言うべし、ウルトラ4兄弟対巨大ヤプールの大決戦を展開してみせてくれた。特撮ファンならば、TVゲームを「ただの子供のおもちゃ」などと思って見くびったりせず、ぜひ、今からでも、その壮大な世界を堪能してみてほしい次第である。 なお、特撮系TVゲームには、もう一つの優れた魅力がある。それは、「製作会社や配給元すら超越した夢の共演」と言うものである。映画やテレビ番組だと、製作会社の異なるドラマのキャラの共演はなかなか実現させるのが難しいのだが、TVゲームだとはるかにキャラ使用権を得やすいので、それこそ大量のキャラの夢の共演が実現可能なのである。「スーパー特撮大戦2001」や「アジト」シリーズ、「スーパーヒーロー作戦」シリーズ(いずれも、プレイステーション)など、それを楽しめるゲームは多数存在するが、あまりにも大胆な組み合わせを目にして、逆にうろたえてしまう御仁もいるかもしれない。しかし、その奇想天外さが十分に許容されているあたりもまた特撮系TVゲームの魅力の一つなのである。 |